推薦入試は是か非か?

2008年1月12日 毎日新聞
入試シーズン到来。公立高ではまず推薦入試からスタートする。福岡県の公立高では90年代に全校が推薦入試を導入。08年度は全定員の20・1%まで推薦枠が広がり、40%に達する高校もある。「意欲ある生徒を集める」「学校に特色を出す」など成果を上げている半面、学力不足の生徒が入学するなど弊害が出ている学校もある。そんななか、熊本や和歌山など推薦入試をやめて前・後期制を導入する県も出始めた。【松田幸三】

 福岡市立福翔高(総合学科、定員320人)は06年度入試から推薦枠の30%を40%に引き上げた。「推薦入学の生徒は進学にしろ就職にしろ、卒業後の進路意識がはっきりしている」と清水昭男校長は力説する。だが「低学力の生徒も推薦で入学するようになった」と「見込み違い」も出始めた。

 推薦入試の合否判定は作文、面接、実技と中学の調査書に基づく。面接は中学での指導が徹底して、それほど差がつかない。そうなると、作文と中学時代の部活の実績や調査書が決め手となる。

 ところが、福岡県内の調査書は05年度から絶対評価のみ。「頑張っている生徒に5や4を付けやすくなった」「1を付けなくてすむ」と福岡市内の中学教師らは利点を認める。半面、中学によって基準が異なるなど、その生徒の客観的な評価がつかみにくいため、公立高教師からは「分数の計算ができない生徒が推薦で入ってきた」「アルファベットさえ満足に覚えていない生徒の英語評定に良い点が付いていた」という声が上がる。

 福翔高は学力低下を受け、09年度からの入試を再検討する。「内部からも推薦制度見直しを求める声が出ている」と清水校長。推薦枠を縮小するか、新たな選考法を模索する。

 学力低下を深刻に受け止め、公立高の推薦入学を基本的に廃止した県もある。和歌山県の公立高は07年度から一部のスポーツ推薦を除いて推薦入試をやめ、誰もが受験できる前期、後期試験を導入した。前・後期とも学力試験を義務づけた。「中学時代の学力不足」が背景の一つ。「全員に受験機会を2回保証する」狙いもある。

 熊本県も05年度から推薦入試をやめ、前・後期入試とした。誰もが2回、公立高を受験できる。

 一方、福岡県では中学の校長推薦を受けられる生徒だけが、推薦、一般入試と複数の受験機会を得ている形だ。福岡県教委高校教育課の山中聡・主任主事は「推薦入学の生徒は各校のリーダー的な存在で、活性化に貢献している」と推薦入試の利点を強調。今のやり方を続ける方針だ。

 入試で最も大切なのは受験生に不公平感を抱かせないこと。その意味で、推薦入試を今のまま続けるのが妥当なのか、吟味する必要がある。全国の入試改革の流れも「受験機会の拡大と均等」がキーワードになっている。
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◇公立高推薦入試

 多くの都道府県が学力だけに偏らない入試制度として取り入れており、やり方も多様。ここ数年は群馬や岡山など自己推薦型を採用している県もある。香川では09年度から自己推薦に統一する。九州・山口では熊本を除く県が推薦入試を採用しているが、いずれも中学校長の推薦を基本としている。

 

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